絶対に声に出して読めない『トミノの地獄』
【センスオブワンダー / 本・マンガ】
出張中、恐ろしい話を読みました。ちょっと信じがたい話なのですが、調べてみても情報が見つかりませんでした。そこで詳しいことをご存じの方がいらっしゃいましたらぜひ教えてください。
博覧強記の学者・四方田犬彦の『心は転がる石のように』に載っていたお話。
「絶対に声に出して読んではいけない詩」があるというのです。黙って心の中で読むのなら良いのですが、朗読してしまうととんでもない凶事が起こるという詩。なんでも寺山修司はこの詩を声に出して読んでしまったためにしばらくして亡くなったとか。
それは西条八十(さいじょうやそ 1892〜1970)の『トミノの地獄』。西条八十は童謡・流行歌も作った詩人です。『お富さん』、(※下の【追記】参照のこと)『東京音頭』の作詞者です。さて問題の『トミノの地獄』。四方田先生も「みんなに教えてあげよう!」と言っていますし、声に出さないなら大丈夫と思いますので書き写してみます。
トミノの地獄 西条八十姉は血を吐く、妹は火吐く、可愛いトミノは宝玉(たま)を吐く。
ひとり地獄に落ちゆくトミノ、地獄くらやみ花も無き。
鞭で叩くはトミノの姉か、鞭の朱総(しゅぶさ)が気にかかる。
叩けや叩けやれ叩かずとても、無間地獄はひとつみち。
暗い地獄へ案内をたのむ、金の羊に、鶯に。
皮の嚢(ふくろ)にゃいくらほど入れよ、無間地獄の旅支度。
春が来て候(そろ)林に谿(たに)に、くらい地獄谷七曲り。
籠にや鶯、車にゃ羊、可愛いトミノの眼にや涙。
啼けよ、鶯、林の雨に妹恋しと声かぎり。
啼けば反響(こだま)が地獄にひびき、狐牡丹の花がさく。
地獄七山七谿めぐる、可愛いトミノのひとり旅。
地獄ござらばもて来てたもれ、針の御山の留針(とめばり)を。
赤い留針だてにはささぬ、可愛いトミノのめじるしに。
たった一人で地獄への道を旅するトミノ。子どもなのにどうして地獄に堕ちねばならなかったのでしょうか。マザーグースやかごめかごめのような謎の多さがいっそう恐ろしい気がします。しかし「宝玉」「狐牡丹」などロマンチックな言葉に美しさがあって残酷ながらも魅力的な詩です。
この作品は西条八十が26歳の時に出版した詩集『砂金』に載っています。『トミノの地獄』は本当に「呪われた詩」なんでしょうか? 四方田先生の与太だといいのですが。それからこれをお読みのあなた、くれぐれも声を出して読んじゃダメですからね!
【追記】しょうじさんより、「お富さん」の作詞は西条八十ではなく、山崎正ではないかというご指摘をいただきました。西条八十であるというソースは「千代田区江戸開府400年記念事業サイト・江戸net」の西条八十のページなのですが、調べてみたところ、どうも山崎正が作詞のようです。大変申し訳ありませんでした。
![]() | 砂金 西条 八十 日本図書センター 2004-03 |
トミノの地獄についての関連記事
●管理人の入院について(妹から)
●その後の経緯・考察(画像つき)
●『トミノの地獄』がコラムに掲載されました
今日のサイト
おみくじについてのトリビア。全国の7割のおみくじはここで作ってるんですね。今年の運勢はどうでしたか?。
2005年 1月 14日(金)
広告

