消えゆく言葉

学ぶ

 しばらく語学系のお話をしようと思います。ついでに「学ぶ」というカテゴリを追加しました。語学に限らず、いろんな分野のお話を盛り込んでいきたいです。私の専攻は言語習得と自動翻訳でしたが、専門的なお話は抜き。堅苦しい学問というわけではなく、気軽に「へえ、知らなかった」と読んでいただければと幸いです。

 まず最初に、世界にはどのくらいの数の言語があるのでしょう? おおよそ世界には6500以上の言語が存在すると言われています。

 そのうち母語として使われている言語として最も多いのは何語? そう、中国語ですね。約11億人が使っています。2位が英語で3億7000万人、3位がヒンディ語で3億2000万人、続いてスペイン語の3億人、アラビア語の2億人。この5種類の言語だけで約23億人です。

 この5カ国語が話せれば全世界人口の3分の1の人とお話できるんですね。そして上位100の言語が話せれば、全世界の9割の人とお話ができます。でも逆に言うと、全世界の1割の人は6000以上の言葉を話しているわけです。そういう話者が非常に少ない言語を「小言語」と呼びます。

 たとえばアメリカ先住民族のペノブスコット語は世界で数名しか話す人がいないと言われていますし、アイヌ語の話者も高齢化が進んでいます。

 これらの小言語は全世界、どこの地域でもどんどん話す人が減ってしまっているのです。元アラスカ大学のM・クラウス博士は今世紀中に90%の言語がなくなってしまうだろうと予測しています。

 ITによるグローバリゼーションが進み、世界は一つになりつつあると言われますね。たくさんの人と交流できて、知識の受け渡しができるのは素晴らしいことです。でも華々しい文明の進化の一方で、小言語は英語をはじめとするメジャーな言語に呑み込まれ、消滅の危機にあるのです。

 残念なことです。言語は単に情報というだけでなく、文化と切りはなせない重要な意味があるからです。もし日本語が消滅したとしたら、「着物」「花鳥風月」「侘び・寂び」「武士道」というものも一緒になくなってしまうかもしれません。とても寂しいですね。言葉の死は文化の死でもあるのです。

 その土地に生まれ、文化の中で育ったネイティブの人でなければ、後天的に一つの言語をマスターすることは大変難しいのです。言語を習得するというのはその文化や習慣、作法や哲学などまるごと手に入れることだから。

 それでもなんとか言語を習得するにはどうしたらいいのか。それが私の勉強の第一歩でした。

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2005年 5月 16日(月)

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