「日常会話ぐらい」とは何事ぞ
【学ぶ】
外国語の学習者で「日常会話ぐらいはできるようになりたい」という人がいますね。さて、「日常会話」とはどのくらいの習得レベルなんでしょう? そもそも「日常会話」って何でしょう?
普段友達や家族とかわす何気ない会話。専門的な仕事や研究について、国際情勢、政治経済なとお堅い話題はついていけないけれど、テレビ番組や最近のニュース、うわさ話ぐらいだったら何とかなるかなとお思いなのかもしれません。
はっきり言って非常に甘い。日常会話こそが最も難しいコミュニケーションだからです。母語で話しているときはあまり意識していませんが、日常会話にはありとあらゆる話題が出てくるし、外国人には難しい文法も駆使しています。自分だけペラペラ話すだけならまだいいのですが、相手の話を正しく聞き、理解し、返答するという高度なテクニックが必要なのです。
例えば英語ではどのくらい語彙数があるのでしょう。『English Vocabulary in Use Upper-Intermediate』という英語学習者のテキストによると、英語の単語数は50万語以上で、日常英語で使う単語数は約5000語だといわれています。
しかし時事問題や教養溢れる会話を楽しみたかったら5000語では全く足りません。ウインストン・チャーチルはボキャブラリーが多いことで有名なのですが、彼の著作を調査してみると語彙数は約6万あったそうです。大学卒業レベルのネイティブスピーカーと、全くストレスなく会話するためにはおそらく2万語でぎりぎり、3万語あればまあまあといったところではないでしょうか。
日本の小学生が使う辞書を考えてみましょう。どの出版社の辞書もだいたい3万語前後の語彙数があります。もちろん大人ならほとんど全ての言葉を知っている(使いこなせなくても聞けば分かるというレベル)でしょう。それを考えると「日常会話で5000語」というのはかなり楽観的な数字なのです。
「日常会話ぐらい」なんて冗談じゃない。日常会話をみくびってはいけません。むしろ初歩として設定するレベルは、税関やレストラン、ホテルなど「場所が限られた会話」にした方が無難です。よくある「旅行会話集」などで旅行前に50ほど例文を暗記したら、同行者に尊敬の目で見られるぐらいのハッタリをかますことができますよ。
そしてあまりにも当然のことですが、母語で話せない話題は決して第2外国語で話すことはできません。初心者は「外国人と知的な日常会話を楽しんでいる自分」を夢見がちですが、まずは母語で豊かな語彙数を持ち、知的な日常会話をよどみなく話せることが必要です。でも某駅前留学のCMを見ているとイメージばかりが先行しているようで不安になるんですよね。

English Vocabulary in Use: Upper-Intermediate
Michael McCarthy
■非常に有名な学習書シリーズの一冊。ただしこれはイギリス英語なので、アメリカ英語を学んでいる人(日本の英語学習者の多くはアメリカ英語を学んでいるはず)は注意しなくてはならない。
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2005年 6月 4日(土)
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