リアル空条ジョリーン『プリズン・ガール』

本・マンガ

 ハンサムなボーイフレンドとアメリカでの楽しい日々が一転。ある日突然、部屋に踏み込んできたFBIに全く身に覚えのない罪、共謀罪で逮捕されてしまう。恋人に裏切られていたのだ。司法取引を拒否して有罪判決を受け、アメリカ合衆国連邦刑務所・州刑務所に収監された彼女の運命は……?

 「知ってる。『ジョジョの奇妙な冒険・ストーンオーシャン』の空条ジョリーンだよね」ってのは早合点。マンガじゃありません。

 『プリズン・ガール』は、1977年生まれの日本人女性・有村朋美氏による実体験・獄中記。21歳の時にニューヨークに渡り、出逢ったのが実はロシアン・マフィア。その恋人に知らぬ間にクレジットカードを麻薬の発送に使われ、麻薬密売の罪によりアメリカ女子刑務所で22ヶ月間過ごしたのです。事実はマンガよりも奇なり。

 6,7人の捜査官に銃を突きつけられ手錠をかけられ、鉄格子に顔を押しつけた女囚たちに罵声をあびせられ、狭い鉄格子の部屋で涙を流しながら眠る……。最初の部分を読んで、怖すぎて身震いしました。だって彼女、ドラッグディーラーでもなんでもなく、ただ利用されただけなんですよ。運の悪さだけでこんな目に遭ったらたまったもんじゃない。

 でも『プリズン・ガール』の主人公・トモミは、ジョリーン並にタフです。手違いで懲罰房に入れられてしまったりなどトラブルもたくさん起こるものの、前向きに日々生き抜いてゆきます。

 ピアノ教師・日本語教師として囚人の生徒に一生懸命教えたり、キッチンで自炊を楽しんだり、囚人仲間とわいわい騒いだり。

 思ったより自由な刑務所の雰囲気や、獄中生活をポジティブな精神で乗り切っていくトモミの姿を見ていると、なんだか刑務所というよりはサマーキャンプのような気もしてくるほどです。

 チャイニーズマフィアの女ボス、女囚に大人気のレズビアン、2メートル近い性転換した陽気なオカマちゃん、5カ国語ペラペラで元CIAスパイだったと噂の天才……「塀の中の面々」の個性的なことと言ったら。思わず笑ってしまったエピソードも。

 しかしその一方で、黒人とヒスパニック系の囚人が大半を占め、貧困のために麻薬や強盗・殺人に手を染める犯罪者が多いというアメリカの暗部に心がふさぎます。刑務所は様々な人種や民族の人々がひしめくアメリカの縮図でもあるのです。

「トモミの友達や親戚で、トモミのほかに刑務所にいる人はいるかい? いないだろ。やっぱり、日本はまともだね。俺たちアメリカの黒人は、ほぼ必ず兄弟や親戚の誰かが刑務所に入ってるからね。まともじゃない。まともじゃないけど、それがふつうなのさ」(有村朋美『プリズン・ガール』)

 泣いたり笑ったりの刑務所ライフ。読み終わった後には勇気が沸いてくる、青春ノンフィクションです。


プリズン・ガール―アメリカ女子刑務所での22か月
有村 朋美
■こんなに不運な人っているんだろうか。でもどんな状況にも負けないトモミはガッツがあるなあ。アメリカ女子刑務所の実態も分かる。

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 あの超ヒット・純愛映画も料理の仕方でこんな風に。「ハートウォーミング映画・シャイニング」と「ゾンビホラー映画・ウェストサイドストーリー」も。

2005年 10月 6日(木)

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